banner

スタッフとカヤックの出逢い

レイドバックオーナー   駒崎 忠 (コマザキ タダシ)

初めていく場所、初めて見るもの、初めて会う人、初めてする事。

何についても初めては存在し、そして第一印象というものがあります。

僕とカヤックとの出会いにおいて、互いの第一印象はあまり良くはなかったと言えます。

レイドバックを立ち上げる前に務めていたアウトドアショップ。

僕はそこで初めてカヤックに出会いました。

当時、カヤックの担当ではなかった僕はカヤックの存在はもちろん知るものの、その道具については深く知るに至らず。

言ってみれば、互いに疎遠の仲であり、興味をあまり見せない僕に対し、向こうもこちらへの興味は薄かったのかもしれません。

このように書くとカヤックを擬人化した気持ち悪さがありますが、そこは縁の話ですのでしばしのご辛抱を。

その縁は、当時のカヤック担当者が辞めた事で訪れました。

こちらの意向は図られぬまま、前任者に代わりカヤックを担当するようにとの知らせ。
突然にして、その日からカヤックの担当を任される事となりました。

道具の名前から始まり、専門用語、カヤックや用品の固有名詞、覚えていけばこそわからない事も増えていく。
いざ水上で練習を重ねても、何が正しいのかがわからない。

手元足元を探りながらの模索の中で、カヤックに関する本の中のある言葉に目を引かれました。

「旅の道具」本にはそういった言葉が並んでいました。

人から与えられたものが、そこで初めて自分のものに姿を変えたような気がします。

それからと言えば、おのずとカヤックと共に旅に出る。

初めての場所、初めての人、初めての事、を常に与えてくれ私自身もそれを求めました。

カヤックはたくさんの道具の中の一つでしかありません。
しかしながら、カヤックだからこそ出会える事柄はそこにしか無く、他に代える事はできません。

そうなれば、初めの疎遠もどこへやら。

水の上を滑り出すほどに、旅を重ねるほどに、その縁は濃いものとなりました。

そしてその縁は新たな縁を生み、今となってはたくさんの人の「カヤックとの初めての出会い」を手助けさせていただく立場となりました。

初めてカヤックに乗られる方、初めてその風景を見る方、そんな時に自分の初めてを思い出します。

カヤックをこれから始められる方と僕は変わりません。

今日の風景は、僕にとっても初めて見る風景なのだから。

もし、違いがあるとするならば、カヤックという道具の楽しみ方を知っているにしか過ぎません。
もし僕のそれが役に立てば嬉しい限り、喜んで皆さんの初めてに手を添えさせていただきます。

カヤックは、時に荷物を詰め込んだバックパックとなり、時には水の上を歩く靴となり、様々な世界を見せてくれます。
そしてもちろん、今となっても素晴らしい「初めて」に会わせてくれます。

あの日、初めて出会った折り畳みのカヤックは道具にしか過ぎません。

しかし、今日、その「カヤック」という道具で旅をできる事に、喜びと誇りを覚える僕がいます。

 

レイドバック 駒崎 忠

スタッフとカヤックのページ一覧
  • スタッフとカヤックの出逢い
  • Copyright 2011 Laidback